🎥『東京物語』小津安二郎/1953年

なんだろう、すごいものを見てしまった。


戦後の日本、そして中産階級の日常。

尾道に住む老夫婦が東京に住む子どもを訪ね、
帰宅後までの数日間を淡々と描く作品。

登場人物は多くを語らないし、
時代も年齢も自分とは全く重ならないにも関わらず、一人ひとりの気持ちが痛いほどわかる。


言葉ってなんだろう。
文字列で何かを表現することは、
困難で不完全でどこか薄っぺらい。

醸し出される雰囲気や仕草の連鎖が
“その人”自体を形作る。

語らずとも語る、をまさに体現していた。

笠智衆さんが
「とうとう宿無しになってもうた…へへぇ」
と物悲しく笑うシーンが◎